木村義雄将棋名人の色紙ー昭和19年8月 ”努力”-が亡き祖父の遺品にありました。いくら位で取引されているものなのでしょうか?どなたか教えてください。
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昭和19年というと第4期名人戦の頃。この期の名人挑戦者選出には戦時態勢が適用され従来より変更がなされました。
当時は八段位者が挑戦者決定リーグを2年かけて戦うのですが、木村名人が全盛期で余りに強く大差で退けられるのでは名人戦が盛り上がらないからという措置と言われてます。
変更方式は次の通り。
「五段~七段戦の予選を行い予選通過4名が八段陣12名に加わり16名で半年に1回ずつ計4回トーナメント戦を行う。優勝者4名はそれぞれ木村名人と平手香落の手合いで三番勝負を行い勝ち越したものが初めて挑戦者となる。該当者2名以上の場合は改めて決戦。」
つまりトーナメント優勝者=予備資格者で予備手合に勝ち越さなければ名人挑戦者とはならなくなったわけで、半年ごとに木村名人の対局が見られるこの改定はファンにとっては楽しみが増えた形となりました。またこのメンバーには大山康晴五段が加わっていて後々の世代交代を思わせます。
結果は萩原・大野・花田・坂口の4人の優勝者のうち木村に勝てたのは大野が香落ちで一番のみ。これにより挑戦者資格は誰もおらず木村連覇となりました。
件の色紙はおそらく、優勝者の中でも最後発の坂口允彦九段との対局前後のものと思われます。八段陣全てに香を引くとされた常勝将軍木村の正に全盛期のものです。入手の縁は木村が報知新聞嘱託だったことや名人戦主宰の毎日新聞の筋など種々考えられますがそこは持ち主にお任せします。
オークション履歴からしたら直筆が\25000から落札された結果は検索できますが、書かれた時期にもよります。お持ちの色紙は確実に戦中期のものですが、むしろ木村の人気が高まるのは名人失冠後のカムバックの頃です。敗戦から復興に向かう日本人の心に響いたことは想像に難くないでしょう。いずれにしても売らずに保管されておかれる方がよいでしょう。
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